PAGE TOP

学会案内

学会案内

理事長のご挨拶

                         一般社団法人 日本核医学会
理事長  中本  裕士    

 令和7年度より、日本核医学会理事長を拝命しました中本裕士でございます。長年にわたり本学会を力強く牽引してこられた諸先輩方からこの重責を引き継ぐこととなり、身の引き締まる思いでおります。

私は放射線科に入局して画像診断を志し、1990年代後半に大学院へ進学した頃より核医学を専門として参りました。当時はフルオロデオキシグルコースを用いたポジトロン放出断層撮像法(FDG-PET)が研究段階から臨床現場へと本格的に移行し始めた時期であり、その後のPET診療の拡大とともに核医学検査数は着実に増加し、臨床における核医学の意義は今日まで揺らぐことなく続いております。

近年、とりわけ私の専門である腫瘍核医学領域において、標的診断と標的治療を統合したセラノスティックス(theranostics)が国際的に急速な発展を遂げています。177Lu や 225Ac による新規治療の臨床研究・治験は国内外で着実に進展し、さらに人工知能(AI)を活用した画像解析、乳房専用PET装置、total-body PET装置、新規放射性医薬品開発など、各種技術革新が核医学診療の精度と可能性を大きく広げつつあります。また、医療用放射性同位元素の安定供給体制の構築を目指した国産化の取り組みも進み、将来を見据えた基盤整備も着実に進みつつあります。

本学会におきましては、各分科会の活動に加え、米国核医学会(SNMMI)、欧州核医学会(EANM)、アジア・オセアニア核医学会(AOFNMB)との協働、さらには国際原子力機関(IAEA)との教育コンソーシアムを通じて、国際的な連携が一段と強化されております。また、核医学診療推進国民会議をはじめ、社会との協働体制も整備が進み、核医学の価値を広く社会に発信する基盤が確立されつつあります。

核医学の持続的な発展には、次世代を担う人材の育成と教育の充実が不可欠と考えています。私は本学会の教育体制をさらに強化し、若い研究者・医療者が国内外で活躍できる環境づくりに全力で取り組む所存です。

核医学は今、まさに新たな飛躍期を迎えております。会員の皆様、関連諸機関の皆様とともに、本領域の発展を確実なものとし、わが国の核医学が世界を牽引し続けるよう尽力してまいります。何卒、従前にも増してご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げます。