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テクネチウム製品供給Q&A

Q: テクネチウム製品はどうやって病院へ供給されていたのでしょうか?
A:  99Moは海外の原子炉で製造されており、この99Moを海外の民間会社が医療用に精製して、医療用の99Mo原料として販売しています。日本では日本メジフィジックス(NMP)と富士フィルムRIファーマ(FRI)とが、それぞれ、海外の民間会社(MDS-Nordion、Covidien、NTP)と契約を結び、日本政府(文部科学省、国土交通省)から認可をとった容器、ならびに、輸送方法で国内に搬入しています。その後、NMP、FRIの製造所においてこの99Moを医薬品原料としてテクネチウム製品を製造し、それぞれの施設・病院へお届けしております。

 

Q: 今回の99Moの供給不足はどういうことで起こったのでしょうか?
A: カナダの原子炉NRU(カナダの原子力公社AECLが運営)に重水漏れなどおこり、稼働を停止しました(2009年5月)。以降、修復などの状況が伝わってきましたが、AECLによると2009年内での復旧は難しいとされています。停止している間、他の原子炉(オランダのHFRや南アフリカ共和国のSAFARI-1など)で世界的な供給を補うようにしています。しかし、日本においては、これまでNRUからの供給が全体の70%以上を占めていたため、供給量は十分とは言えません。また、原子炉は定期点検(1週間/月原子炉によりますが、海外では数週間~1か月程度)を行うことが義務付けられており、さらに、増産を行うにしても限界があるのが実情です。それで、全世界的に99Mo-99mTc-ジェネレータや99mTcの製品が不足するという状況に陥りました。

Q:日本への供給が厳しい状況となっているのはどうしてでしょうか?
A: 日本の供給はすべてが海外の企業との契約に基づいており、新たな製造元からの供給や、急な入荷は容易でありません。一方、カナダからの輸送と比較して、南アフリカなどからの輸送は時間が倍以上も必要なために、半減期の短い99Moは輸送時間によるロスが大きく、世界的に生産量が減少している中での日本へでの供給は国際的にも大きな課題となっています。以上の理由で、日本への供給量が不安定で、厳しくなっている状況です。

 

Q: テクネチウム製品の供給情報が小刻みに出されるのはなぜでしょうか?
A: 上記の理由で、日本に輸入できるで手に入る99Mo原料の量が確約できません。そのため、1回の製品製造で99Moを消費してしまうジェネレータの配布を一時中止して、NMPとFRIとが各社で99mTc-溶液を通常より多くの回数、溶出抽出するなどして、できるだけ多くのテクネ注射液製品を継続して供給していますさせていただきました。しかしながら、99mTc-溶液の溶出抽出回数にはも、労働条件などの諸理由により、限度があります。また、99Mo原料の入荷は安定した量ではないために、製造できる製品の量はその都度異なっていますので、1社だけでは必要な供給量を賄うことができず、NMPとFRIで効率よく製品を供給するための出荷品目の協議も必要です。。以上の理由で、製品の供給状態の情報が1週間ごと、あるいは、数週間ごとになってしまうのです。

 

Q: 外国の状況はどのようになっているのでしょうか?
A:  NRUからの 99Mo供給が主体であったカナダとアメリカとでは、日本同様に、99mTcを使用した核医学検査に大きな影響が出ていることが、連日のように報告されています。 対応策として、カナダはNRUの修復状況を詳細に報告して、他の原子炉からの補給状況も併せて連絡しています。アメリカでも同様の報告がなされると同時に、自国での生産に向けた方策が緊急課題として取り上げられています。

 

Q: この状態はいつまで続くのでしょうか?
A: 原子炉NRUの修理は2010年3月までには終了すると報じられていますので、日本での対応を中期的に組むことを考えています。幸い、他の原子炉に関しては定期点検後も問題なく稼働しているようですので、従来の状況に戻ることは難しくとも、少量ずつの回復は見込めると考えています。また、状況に応じては、その都度、小規格のジェネレータを等しく配布することも可能になると考えています。

 

Q: 今後もこのようなことが起こりえるのでしょうか?
A: 現状の原子炉の稼働年数はいずれも50年近いもので、老朽化は否めません。99Mo原料を安定供給できる方策をOECD/NAEAを中心に、各国とも緊急課題として検討中です。日本でもアジア近隣諸国やオセアニアを結ぶネットワークの一員として、99Moを安定供給するためのプロジェクトに積極的に参画しています。但し、新規原子炉の建設・稼働製造は核不拡散条約のもと国際的な取り決めのもとに行われますので、本件は国家的プロジェクトでもあります。従って、先立つ予算と見通し、さらには関連学会からの支援を至急必要としています。

 

Q: 事態を早く知ることはできないのでしょうか?
A: 供給元が日本国外にある状況ですので、原料が発送されて、日本に到着するまでは予断が許されないのが現状です。正確な情報をお届けすることを第一と考え、できるだけの努力をしておりますので、ご理解いただきたいと思います。また、そのためにすべての情報をRI協会からの一斉発信とさせていただいておりますことも、併せて、ご理解いただきたいと思います。