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核医学撮像装置の保守点検の実施等について

 

-米国における核医学検査時の死亡事故からの教訓-

日本核医学会 理事長 井上登美夫
日本核医学技術学会 理事長 渡邉浩

2013年6月,米国の病院において核医学検査中に核医学撮像装置の検出器が患者に落下し患者が死亡するという事故が発生しました.原因等は現在米国において裁判中で詳細を確認することはできません.しかし,この病院では核医学撮像装置はメーカの保守契約外だったことが分かっており,適切な保守点検(定期点検および日常点検)が行われていなかった可能性があります.
現在,われわれが知りえる情報は限られておりますが,それでも今回の事故を教訓とすべきことはいくつかあります.本邦においてこのような事故を発生させないためにまずは本件の周知ならびに下記の保守点検の実施および研修機会への参加を強くお願いするものです.

1.    核医学撮像装置をはじめとする医療機器の定期点検を実施し,出来る限り保守契約を結んでください.
医療法施行規則等により,核医学撮像装置(通称ガンマカメラ)は医療機器としての保守点検を適正に実施することが義務付けられています.
2.    核医学検査・治療を担当している核医学技術者は適切に日常点検を実施してください.
医療現場で行うべき保守点検の一環として日常の始業・終業点検を実施して状況を記録・保存することが求められています.
3.    危険予知を念頭に核医学診療業務ならびに日常点検に従事してください.
装置の故障等の兆候は動作時に異音等で確認できることがあります.また,定期点検および日常点検の結果から確認することも可能です.さらに,得られた画像に内在するアーチファクトから推定することが可能な場合があります.
4.    関連学会等の開催する学術大会・講習会あるいは地域の研究会等に積極的に参加してください.
質の高い核医学診療を安全に実施するためには日々進歩する医療技術に合わせて知識・技術の習得が必要なことは言うまでもありません.そのため,核医学診療業務に従事する者は定期的に学会等に参加し知識・技術・安全行動の意識の習得に努めてください.

以上