Abstract | 「I. はじめに」 PET(Positron Emission Tomography)はサイクロトロン産生の短寿命RIを用いて生体の生理学的機能を観察する手段として利用されている. 15O標識ガスを用いた脳循環測定はPET室に供給されるC15O2, 15O2, C15O等の放射性ガスを被検者がマスクで吸入して行っている. PET室内はこれらのポジトロン放射RIから放出される陽電子線(β+線)と, この消滅に伴うγ線の被ばく環境下にある. われわれの施設ではこの測定は, 血中RI濃度測定用の採血を行う医師, 被検者の観察と看護を行う看護婦, PET装置の操作を行う放射線技師, 血液中のRI濃度測定と血液ガス分析を行う血液測定者, 放射性医薬品の合成を行う薬剤合成者とサイクロトロンの運転者が従事している. これまで, 当施設のPET室関係者の被ばく線量は全身被ばくの場合, γ線で, 1か月平均約12mrem程度であるが, PET室の線量分布はPET室の遮蔽や, 作業者の被ばく軽減の資料として重要である. この観点からわれわれは, 最も高線量率条件下での, PET室線量分布を測定し, 検討した. |