Abstract | 日本核医学会に多くの業績と足跡を残された飯尾正宏理事長が急逝されましたため, その中継ぎとして, 本年初頭より秋の総会まで, 皆様のご推薦とご支援により, 理事長の会務を代行させて戴くことになりました. 顧り見ますと, 昭和25年国立東京第二病院で山下久雄先生の下に勤務し, 昭和26年から131Iによる甲状腺疾患の診療を担当させて戴いてから, 学位論文, 国際学会発表, さらには私の給料源もほとんどが核医学診療に依存して40年が過ぎてしまいました. この間, 昭和57年には, 会長を, さらに今回は理事長にご推薦戴き, 誠に光栄に存じております. 核医学は嘗ては画像診断の魁として, またRadioimmunoassayなどによる微量物質の測定など医療に多大の貢献を誇って参りました. その後, 画像診断には多くの他の技術, 装置の進歩が見られましたが, 核医学はさらに本来の特技である代謝, 動態などの生理的, 病理的機能の特異的情報源として展開し, さらにはサイクロトロン, PETの設置により, 脳, 心, 肺などの機能のみならず, 精神およびその疾患の画像化, 解明にまで利用を拡大してきております. そして一般臨床医が切望しているPETで開発された技術, 研究をSPECTに転換し, 臨床応用する夢も着々と現実化してきております. 一方モノクローナル抗体の進歩は従来のRIAから, 感度, 再現性の優れたIRMAへと変換し, 更にはRadioimmunoimaging〜therapyの臨床利用へと進んでいます. 日本核医学会は現在3,600名の会員を擁し, 認定医の事業も軌道に乗り, 放射線学会との協調も順調に行われています. 核医学装置の代表であるSPECTも本年1月の調査で880台, PETも17台と会員数, 装置規模ともに, 世界の1, 2を示しています. この秋には第31回総会が濱本研教授の下, 松山市で開催され, アジア大洋洲核医学会も来年10月(25日〜29日, 於ジャカルタ)に迫っております. 会員皆様のご指導, ご協力により日本核医学会が益々発展することを祈念し, ご挨拶とさせて戴きます. 1991年4月 |