Abstract | (553-556) 血液のセッション4題を司会した. 553席, 虎の門病院, 斉藤による血小板寿命測定に際しての寿命の算出法についての検討であった. あらかじめ, 標識段階で血小板を分離しておけば試料の採取は全血でよく, PPPの放射能を差し引いて補正した方がよいとの主旨であった. 分離前の赤血球のコンタミ, マルチヒット法計算の意味について質問があった. 554席, 天理病院高橋は骨髄異形成症候群 (MDS) の病態検索として骨髄シンチグラフィとフェロキネティフスを定量的指標として表現し, 低形成骨髄を示すMDSと再生不良性貧血では区別がつき難いことを示した. MDSの特徴として無効造血があげられ, 両者の鑑別のよりどころとされているが, 必ずしもそうでないことが述べられた. 555席も天理病院高橋の発表で, フェロキネティクスにおいて, 鉄-トランスフェリン複合体と赤芽球間の鉄の受け渡しが, monoferricとdiferric transferrinで態度が異なるため, 計算上補正を要するとのCazzola, Finchの提案の追試である. 彼らの補正係数はin vitroでの成績でin vivoへの適用には問題があり, 従来の血清鉄交替率でよいとの考えがのべられた. 556席, 長崎大原研内科の貞森は, 今回, 開発されたチミジンキナーゼ活性測定キットを用いて, 各種造血器腫瘍のチミジンキナーゼ値が高値をとることがのべられた. 本酵素は, 急性増悪などの予測よりはむしろ, 増殖した腫瘍細胞と相関しているとの印象がのべられ, 成人T細胞性白血病では異常に高いものがあることが議論された. 血液関係の演題数は, ここ数年少数で, 米国の学会と比較して見劣りがすることは残念であるが, 本邦でも関心が深まることを期待したい. |