Abstract | (72-76) MRI・MRSとの関連は今後の核医学にとって重要なテーマとなるであろう. かつて脳シンチグラム, 肝シンチグラムがCTの出現によって, その独占的地位を失ったことは記憶に新しい. 同様のことが, MRI・MRSの普及一般化によって起こる可能性は十分にある. 一般的に言って, 画像診断のモダリティーの多様化と進歩は, 他方において, きびしいテクノロジー・アセスメントにさらされることであり, そのような洗礼の上で, 役に立つ核医学であることと, 核医学でなければならぬ核医学の道を探ることが必要であろう. 東大の西川らはMRIの三次元フーリエ法によって臨床応用の可能な冠動脈描出の試みを紹介したが, 心臓の形態・動態描出のかなりの部分はMRIが主役となっていく可能性があると考えられる. 福井医大の周藤らはGd-DTPAの描出するものが99mTc DTPAの示す動態と基本的の等価なものであることを示したが, MRIの側においても核医学で培われた考え方の導入が今後の成長の糧となるだろう. 放医研の池平, 橋本らは13C, 19F等の安定同位体標識化合物の代謝をMRSで追跡する試みを発表したが, PET等で示される現象との照合が行われ, ある意味でのPETの一般化の一助となることを将来的に期待したい. 兵庫成人病センターの楢林らは31P-MRSの悪性腫瘍の挙動についての発表を行ったが, いずれにせよMRSは核医学と並んでin vivo代謝の評価の手段として進歩していくものと思われ, 核医学とのつき合わせという立場は, 今後, 重要と思われる. |