Abstract | 医療の進歩によって, 多くの不治の病の患者の救命が可能となり, また平均寿命の延長が得られている. 一方同時に, 高齢化社会における退行期骨粗鬆症が寝たきり老人の主な原因となり, 長期のステロイド治療による骨粗鬆症, 長期透析による腎性骨異栄養症, また肝性骨異栄養症, 糖尿病性骨減少症などの新たな問題が浮かび上がり, これらの予防と活動性な生活の確保が, 次なる医療の課題となっている. これらの骨疾患は骨減少を伴う. 骨減少はリモデリングの破綻により生ずる. 骨とビタミンDの世界的先駆者である須田(昭和大)は, リモデリングの調節機構を, 破骨細胞と骨芽細胞の相互作用と, その調節に関与するカルシウム調節ホルモンと局所因子について, 骨代謝にあまり馴染みのない会員に平易かつ明解に最新の知見の紹介を行った. 血中カルシウム調節ホルモン測定の進歩について, 山本(京都市立病院)は, 最近開発された(1-84)PTH測定法は, あらゆる点で究極の方法であることを示し, また簡単な1, 25(OH)D測定法の開発が間近であり, また骨局所因子の測定の重要性を述べた. 代謝性骨疾患のMRIについての研究はほとんどない. 平敷(埼玉医大)は骨髄脂肪分布の年齢, 疾患による変化を示し, これまでの骨研究に新たな光を照らした. これまで硬組織のみ注目され, 骨髄脂肪への配慮がなかったことが反省され, 今後MRIの骨減少症研究の役割が期待される. リモデリング破綻の結果骨減少が生ずるため, 骨量の正確な測定は骨減少症の診断・治療に不可欠である. 近年開発された信頼し得る測定法によって, 福永(川崎医大)は加齢に伴う骨減少と骨折危険度の関係を明らかにした. 今後骨減少の臨床は骨塩定量を中心に展開することと思われる. 長期透析に伴う腎性骨異栄養症の対策も重要である. 越智(大阪市大)は, 本症の病態解析, 治療効果の判定における核医学手法の有用性を確立し, その臨床使用の実際を示した. 骨減少症の病因病態は多種多様であり, 高齢化社会に伴って, その対策は今後益々重要となる. これらの疾患は予防が最も重要である. 非侵襲的な核医学手法の発症予防, 予知における役割を確立して, 今後広く利用されることが期待される. |