Abstract | このシンポジウムではホルモン, ホルモンレセプターおよびホルモンの遺伝子など微量物質のインビトロでの解析法が取りあげられた. ホルモンの測定法では長い間用いられたradioimmunoassayから, 標識抗体を用い, 非競合法であるimmunometric assayでしかもアイソトープの代わりにアイソトープ以外で標識する方法が主流となろうとしている. 出村はradioimmunometric assayが感度, 特異性で優れているため, 血中TSHの基礎値のみの測定で甲状腺疾患の診断や治療に有用であり, またLHは類似したhCG存在下でも正確に測定できることを示した. 異なった2種類の抗体を大量に要する点はmonoclonal抗体作製法の応用により可能となったが, 抗原過剰域でのhook effectや1検体あたり用いられるアイソトープの量が多いなどの欠点も存在する. 伴らは標識物質としてアイソトープの代わりに酵素, 螢光, 化学, 発光などが用いられるようになり, アッセイの感度もさらに良好となってきていることを示した. ホルモンレセプターの測定法でも, レセプターに対するmonoclonal抗体を用いるimmunoassayが用いられるようになった. 加藤はヒト子宮内膜の細胞質および核内のエストロゲンレセプターを放射性標識リガンドを用いて測定するbinding assayとエストロゲンレセプターのmonoclonal抗体を用いるenzyme immunoassayで求めた値が良く相関することを示した. ホルモン遺伝子のprobe assayは近年脚光を浴びている領域である. 宮井は先天性TSH欠損症のDNAを解析しDNA上に点変異を見いだしサザンプロット法で家族の検索を行い, 常染色体劣性遺伝であることを示した. 山口はmRNA量の測定は, 目的の遺伝子が眠っているのか, 活動しているのかを明らかにできること, DNAと異なりmRNAは組織ごとに, 細胞ごとにさらに細胞の周期によっても異なり, RNA分解酵素により失活され易いなどから, DNAの分析の場合に比べると細心の注意が必要であることを強調した. 微量物質のインビトロアッセイについて実りある発表が行われたが, 今後とも新しい測定法の改革に応じて方法論に柔軟性をもたせることが再認識された. |