Abstract | 呼吸器核医学を専門とされていた菱田会長のもとで, 核医学会では, はじめて呼吸器関係のシンポジウムが開かれた. 伊藤春海先生(京大・放・核)は, 疾患モデルとしてびまん性細気管支炎をとりあげ, 13N2 PETと99mTc-MAA SPECTを駆使し, 解剖と生理の結びつきをin vivoで明瞭に示された. 手島建夫先生(東北大・抗研・内科)からは, 抗研で考察された種々のパラメータによる粘液線毛輸送系の効率の評価, エロソールシネシンチグラフィーによる, 気道粘液運搬の視覚的評価などについて発表があった. 近年, 肺上皮の損傷を99mTc-DTPAエロソール吸入法により, 早期に発見する試みが行われているが, 金沢実先生(慶大・内)には, この問題についての研究成果について話していただいた. 森豊先生(慈大・放)には, 67Ga集積の定量的評価により, 病状発現の予測や換気・血流異常との関連など, について発表してもらった. 123I-IMPは, 肺に多く集積することから, 肺病変への応用が考えられているが, 中條政敬先生(鹿児島大・放)には, 限局性病変における123I-IMPの有用性について話していただいた. 日下部きよ子先生(東京女子医大・放)には, 新しく開発された67Ga-フィブリノーゲンによる肺塞栓症, 深部静脈血栓症の有病正診率を中心に話していただいた. 本田憲業先生(埼玉医大・総合医セ・放)には, 133Xe検査を中心に画像処理技術と得られた機能画像の意味について解説していただいた. 最後に利波紀久先生(金大・核)に201Tlと肺癌について追加発言をいただいた. 本シンポジウムでは特に, 上皮透過性の問題, 123I-IMPや201Tlの臨床的意義など, 呼吸器核医学の新しい分野についてもとりあげたが, これらの検査法や, 医薬品が呼吸核医学において, 新たな座を占めるかどうか, 今後の研究が期待される. |