Abstract | 「 (492-497) 」 わが国で開発された新しい血栓診断薬である67Ga-ヒトフィブリノーゲン (以下Ga-F) に関する6題の演題発表があった. 基礎的な検討としては494席の増田らよりの報告があり, 撮像条件の検討の結果, 67Gaのもつ3 peakのうち93 KeVのnoise量が最も多いためこのphoto peakの画像への寄与率を低下させた方が良いとの結論であった. これは他の67Gaシンチにも当然適用されるべき結果であると思われる. 臨床的検討として493席の中島らは主にASO例, 495席の窪田らは心・大血管疾患, 496席の児島らは心・大血管疾患および人工血管移植例, 497席の鈴木らからは心筋梗塞例に伴う血栓の描出の検討が報告された. 全体的に高率に血栓が描出されGa-Fの臨床的有用性が確認された. 492席の勝浦らはGa-Fと111In標識血小板との臨床例における比較が報告された. 両方法を同時に施行した7例ではともに, 陽性が3例, 陰性が4例であり, 両方法間に差異を認めなかった. またこれまでの研究会等での報告では抗凝固療法中の患者においてもGa-Fによる血栓描出例がかなり認められていた. それらの例は抗凝固療法が不十分な例なのか, それともGa-Fの特徴なのかどうかはっきりしなかった. 今回の本セッションにおける議論では抗凝固療法が不十分なためと考えられた. まとめ:Ga-Fはそのクリアランスが比較的遅いために血栓判定日は3〜4日目となり, 早急な治療を要する冠動脳血栓等の描出には適していない. しかしGa-Fは他の心・大血管疾患等においては血栓描出率が良好であり, かつ操作が簡便であることに加えて副作用を認めないため, 今後広く普及すべき血栓診断法であると考えられた. |