Japanese
Title座長のまとめ シンポジウムI 放射線と甲状腺
Subtitle第27回 日本核医学会総会座長のまとめ
Authors長瀧重信, 熊取敏之
Authors(kana)
Organization長崎大学第一内科, 放射線影響協会
Journal核医学
Volume25
Number7
Page676-676
Year/Month1988/7
Article報告
Publisher日本核医学会
Abstract第27回日本核医学会総会は原爆の被災都市で初めて開催される日本核医学会総会である. 会長として長崎市における原爆の影響は本学会で取り上げるべき議題と考え, 会長講演も含めて「放射線と甲状腺」というシンポジウムを企画した. 本シンポジウムで甲状腺を取り上げた理由は, 第一に原爆の影響すべてを一つのシンポジウムにまとめることは不可能であること, 第二にわれわれが甲状腺の専門家として数年前から原爆被爆者の甲状腺疾患について調査を行っていること, 第三にマーシャル群島, スリーマイルズ, チェルノブイリなどの放射性降下物の中で問題となっている放射性物質の一つに放射性ヨード (131I) があり, 甲状腺に対する影響が大きな社会的な問題となっていること, しかし医療用の放射性物質として131Iはバセドウ病の治療には非常に有用であり, 数万人におよぶ患者が131Iで治療されているにもかかわらず, 発癌性などの副作用は全く認められないことなどである. 本シンポジウムでは最初に原爆被爆者およびマーシャル群島住民の現時点における甲状腺疾患および疾患と放射線との関係について発表して頂き, 次いでチェルノブイリの事故によりヨーロッパに降下した放射性物質の量, 1954年から1987年までの間の世界中の動物の甲状腺内放射性ヨード量の変動およびその放射線が甲状腺に対して与えると考えられる影響について発表して頂く. そして最後に医療として用いられる放射性ヨードの有用性と副作用について発表して頂き, 現時点におけるわれわれ核医学者としての見解をまとめたい. 本シンポジウムの目的は従来もいろいろな立場から放射線と甲状腺に関する発表がなされているが, 核医学者が純粋に科学者としての立場から, でき得る限り, 正確な事実を明らかにすることにある. 討論の時間として一時間を予定しているので会員各位の活発なご討論をお願いしたい.
Practice臨床医学:一般
Keywords