Abstract | (368-371) 本セッションは, エロソール関係が2題, 99mTc-MAAなどを利用して肺血流分布と肺動脈圧の関係をみたものが2題あった. 井沢(東北大抗研)らは, 寛解期の気管支喘息患者を対象に, 自らの開発したエロソール吸入肺シンチグラフィを応用して, β2刺激剤の気道粘液線毛輸送系への効果について報告した. β2刺激剤投与によって, エロソールの肺内分布はより均一化し, 肺胞沈着率が増加した. 一方吸入直後の気道沈着率は低下した. 肺機能検査も改善していたが, Po2は低下しており, V/Qミスマッチの増強を示唆した. 前田(福井医大)らは, エロソール沈着の性質を利用して努力呼気負荷時のエロソール分布を検討していた. 健康人においては, 安静呼吸時と努力性呼気負荷時の沈着に相違を認めなかったが, 閉塞性障害をもつグループでは中枢のエロソール沈着が増加したり, 新しく過剰沈着像が出現したりする所見が認められた. これまでの安静呼吸時の吸入法に比べて, より鋭敏と考えられる. 田中(女子医大)らは, 99mTc-MAAを坐位にして注射し, 70%と30%の高さにおけるカウント比(D)を指標として, 拡張性心筋症の予後評価を行っていた. 心不全の既往を有する症例を対象とした場合, D<1群での1年死亡率は12%であったが, D≧1群では60%が死亡した. また, 経過観察によって肺内血流分布が改善した症例では良好な予後をとった. 林田(国循セン)らは, 99mTc-MAAと99mTc-RBCを使って, 心房中隔欠損症における肺血管床病変の広がりを評価している. 99mTc-MAA検査では, その分布と平均肺動脈圧(Pa)を比較し, 不均等分布の強い症例でPaが高かった. 99mTc-RBC検査では, 肺内血液量の酸素負荷前後の変化をみており, Paが30 mmHg以下の症例ではPaとよく相関するという成績について報告した. |