Japanese
Title座長のまとめ エロゾール
Subtitle第26回 日本核医学会総会座長のまとめ
Authors伊藤春海
Authors(kana)
Organization
Journal核医学
Volume24
Number5
Page603-604
Year/Month1987/5
Article報告
Publisher日本核医学会
Abstract(364-367) 本セッションは肺胞壁の透過性の亢進を99mTc-DTPAエアロゾルを用いて計測した4つの研究発表からなる. エアロゾルはいずれもネブライザーによる発生で多分散粒度分布を有する. 慈恵医大松本らは因子分析法によりDPTAエアロゾルの肺からのクリアランスが肺胞透過のみならず, 線毛によるクリアランスや咳の効果が重積したものであることを証明した. 本研究の背後にはCOPDにおいてはDTPAエアロゾルが必ずしも肺胞に到達せず, かなりの部分が気道に沈着するという事実があり, オーバーオールな計測では実際の肺胞透過を過小に評価する可能性があることを指摘した. 同様に慶応大学金沢らは間質性肺疾患においてもDTPAエアロゾルの沈着が不均一であり, 特にスポットを形成する例では病変の強さにもかかわらずKep(肺胞より血中への移行速度)が過小評価されることを証明した. さらに国療中野病院鈴木らは各種間質性肺疾患においてはDTPAエアロゾルのクリアランスが正常に比べて有意に速いことを示した. しかも血流の少ない上肺で速いという興味ある事実を報告した. 以上3つの報告はいずれもDTPAエアロゾルのクリアランスの解析が肺胞透過性の評価に有用であることを示しているが, 共通する問題点は病変部の肺胞へいかに有効にエアロゾル粒子を到達させ, そしてそれをどう判定するかにあると思われた. 最後に慶応大学鈴木らはDTPAエアロゾル吸入に引き続いて15分ごとに2分間ヒスタミンエアロゾルを吸入させ前者のKepがそのたびに上昇し, 5分後には元に復することを観察し, ヒスタミンエアロゾルの可逆的薬理作用をきれいに証明したきわめて興味ある報告であった. 呼吸器病学の1つの研究的焦点に核医学的技法を巧みに応用した例として高く評価したい.
Practice臨床医学:一般
Keywords