Abstract | (252-256) Tc-99m標識ピロリン酸(PYP)が急性心筋梗塞の検出に用いられ, その検出における意義についてはすでに認められている. このセッションの発表5題の内, 2題がPTCA, PTCR後の血流再開とPYP集積との関係を扱っており, 24時間像の意義が1題, PYP集積と心臓予後との関連が2題, SPECTの応用が1題と, 梗塞の検出率そのものよりは, その機序や予後推定に関する演題が多かった. 冠動脈PTCA, PTCRは, 最近広く行われるようになっているが, PYP集積が術後多くの症例に認められる. 近藤ら(島田市民・循)は, 血栓溶解直後(平均5.7時間)にPYPシンチグラフィを行い, 開通群の84%に早期陽性像が認められることに着目し, その機序として, いわゆる“reperfusion injury”の反映であろうと推定している. 多田ら(国立金沢・放)は急性梗塞患者を中心にPYPシンチを行い, 2時間像, 24時間像を撮像した. その結果, 前者が陽性で後者が陰性の群に比較して, 両者が陽性の群では左室駆出率(LVEF)が低いと報告しており, 冠血流量による洗い出し率の差も一因と考えられる. 南地ら(兵庫県立姫路循環器病センター)はPTCA, PTCR後の心臓予後とPYPシンチの関係について検討した. PTCR, PTCA施行開通群の46%にParkey分類の4度以上の集積があり, 特に強い集積が開通群の10%にみられた. 集積程度と慢性期の心機能を検討すると, 高度の集積群では慢性期のEF低下が高率であったと報告している. 鈴木ら(名大・一内)はPYPによる梗塞面積, LVEF, Tl-201の心筋取り込み率を総合して重症度の指標とすると, 心不全や心臓死の発生と密接な相関があり, これらの指標の有用性を示した. 中駄ら(北大・核)はPYPのSPECT像とplanar像を比較し, SPECT像が検出率に優れることを示した. ただし, 局在の評価はSPECTのみでは難しい場合があり, 現在はplanarとの併用が必要であろう. |