Authors | 飯田泰啓*, 笠木寛治*, 高坂唯子*, 御前隆*, 新井圭輔*, 徳田康孝*, 小西淳二*, 鳥塚莞爾*, 森徹**, 井村裕夫** |
Abstract | 「I. はじめに」甲状腺刺激ホルモン (TSH) は, 下垂体前葉より分泌される糖蛋白ホルモンであり, 甲状腺ホルモンの分泌調節に重要な役割を果している. 今日, 血中TSHの測定は, 甲状腺疾患, とりわけ甲状腺機能低下症の診断, 経過観察には不可欠なものとなっている. しかしながら従来の, TSHのラジオイムノアッセイは, 感度が不十分であり, 甲状腺機能亢進症患者と, 健常者との分離ができず, この目的のためにはTRH負荷試験が不可欠であった. これまでTSHの高感度アッセイの開発のため種々の方法が試みられてきたが, 最近, モノクローナル抗体をimmunoradiometric assayに応用することによって, TSH測定法の感度を著しく改善することが可能となった. 今回, この方法によるSucrosep(TM) TSH-IRMA kitを使用する機会を得たので, 基本的検討を加えるとともに, その臨床応用を試みた.「II. 対象および方法」対象は, 健常者としては, 本院の職員で健康診断で異常なく, 血中thyroxine (T4) , triiodothyronine (T3) , T4結合蛋白濃度が正常であった40例と, 京大病院甲状腺外来を受診した未治療バセドウ病26例, 寛解中のバセドウ病8例, およびEuthyroid Graves病17例, 補償療法中の甲状腺機能低下症53例のほか, TRH負荷試験を実施した60例である. |