Abstract | 「I. 緒言」 運動負荷心筋スキャンは, 非観血的に冠動脈病変や心筋のviabilityを検出する方法として虚血性心疾患の診断, 経過観察に有効な方法である. 一般に, 負荷直後の初期分布および4時間後の再分布像の心筋イメージの比較から一過性欠損像の検出により, 診断が行われている. しかし, 心筋欠損像の出現がなくても負荷時201Tl肺野集積が高い場合, 虚血性心疾患の存在は否定しえない. そして負荷時201Tl肺野集積の増加は, 負荷による左心不全を反映しており, 虚血性心疾患の重症度判定に有用な指標となりうると報告されている. われわれの施設においても, 冠動脈疾患を有する症例の負荷直後の初期分布像において, 201Tl肺野集積の増加している症例がしばしば認められる. しかし, 心筋梗塞症例において201Tl肺野集積の臨床的意前について, 多数例で, 検討した報告はない. そこで, 本研究は, 心電図, 心エコー図, 心臓カテーテル検査にて診断された前壁梗塞83例, 下壁梗塞70例において, 運動負荷心筋スキャンでの201Tl肺野集積の臨床的意義について対比検討した. |