Abstract | 「I. はじめに」 Squamous Cell Carcinoma related Antigen (以下SCC) は子宮頸部扁平上皮癌の肝転移巣より抽出・精製された分子量約45,000の糖蛋白であり, 加藤らにより子宮頸部扁平上皮癌組織から抽出されたTA-4のサブタイプのひとつである. TA-4は子宮頸癌患者の血清中に高率に検出され, 腫瘍関連抗原として, 子宮頸部扁平上皮癌の診断や経過観察に有用であるとする報告が行われている. SCCとTA-4の間には共通の抗原性が認められ, 両者のRIA法による測定値には良好な相関が認められる. 最近, ダイナボット社により, 血清SCC測定キット (SCC-リアキット) が開発された. 今回, 本キットの基礎的検討を行い, さらに婦人科疾患や肺癌, 食道癌などにおける臨床的有用性を検討した. 「II. 対象と方法」 測定はキット添付の説明書に示す手順に従って行った. 検体は測定時まで-20℃で凍結保存したものを用いた. 基礎的検討はインキュベーション温度および時間の標準曲線に及ぼす影響, 測定内および測定間再現性, 回収試験, 希釈試験について行った. |