Abstract | (480-484) 本学会では, いよいよNMR映像法が本格的な話題として取りあげられた. 1つはシンポジウムIであり, 2つは本セッションであった. ここではプロトンNMR映像装置を臨床治験として用いている放医研と東大から各2題と分析用NMR装置を用いた映像法の基礎に関する演題1題が報告された. No. 480と481は放医研からの演題で, 前者が「NMR-CTの臨床評価 (第一報) 基本方針と共同プロジェクト」, 後者は「同 (第二報) 臨床利用」の2題であった. 放医研の装置は旭化成の常伝導型MARK-Jで, 磁場0.1T, 縦方向に4個のコイルを並べて, 主磁場の方向が垂直になっている. 第一報では装置の概要と放医研臨床研を中心とした臨床各科との共同研究の進め方について述べ, とくに, T1測定の意義について言及した. 第2報では実際の臨床例として, 頭部, 心, 腹部を供覧し, 現状を述べた. No. 482と483は東大からで, 前者は「NMR-CTによる脳脊髄疾患の検出」, 後者は「NMR-CTの臨床応用 : 肝腫瘍を中心に」であった. 東大では島津製作所のもので, 常伝導型磁石, 磁場0.15T, 横型の4コイルを用いている. 前者の演題では頭蓋内および脊髄疾患に対して, 飽和回復および反転回復法による撮像を行い, X線CTとの比較を行った. 画質的にはもう一歩のところであるが, 有効との結論である. 後者は肝腫瘍を中心とした腹部臓器の画像を示し, 現状での問題点を指摘した. No. 484は「骨髄内のNMRによる診断の基礎」で, 磁場4.7Tの分析用超伝導フーリエ変換NMR装置を用いて, 正常骨髄内のプロトンスペクトルを計り, H2Oと脂肪のT1とT2に大きな差があることを示し, 映像法の問題点を指摘した. 今回の演題におけるNMR像は多くの改善の余地があるが, ともかく, 第一回として, 臨床応用が現れてきたことは非常に注目される. |