Abstract | (435-438) 膵に関する演題は4題で, このうち3題までがECTによるものであった. 兵康医大立花らは75Se selenomethionineによる膵scintigraphyの撮像にECTを用い, これが従来の膵scintigraphyに何を加えるかについて報告した. ECTは, 肝, 腎などの影響を除外し, 膵形態のより明瞭な把握を可能にするが, 膵炎, 膵頭部癌などにおける従来の膵scintigraphyの問題点, 限界を本質的に解決するものではないと思われた. 信州大中西らは75Se selenomethionineの膵集積動態をfunctional imageとして求め, これを従来の膵scintigramに併用することによって若干の診断率の向上を得たと述べ, またfunctional imageの数量化の試みについても述べたが, 各種膵疾患群での重なりが多く, 鑑別にはあまり役立たぬようである. 京都大藤林らは膵imaging薬剤として新しく開発された62Zn EDDAの動物における実験結果を報告した. 62Znはcyclotron産生positron核種で, 半減期は9.13時間, 62Zn EDDAの形で投与すると膵に高率にとりこまれ, PCTで明瞭な膵像が得られる. 薬剤負荷による膵外分泌機能の評価も可能で, 半減期の適当な点からも今後期待される核種である. 東北大窪田らは11C methionineによる膵のPCTについて報告した. あらかじめX線CTにより位置ぎめを行い, 11C methionine投与後連続して40分まで膵頭部を中心に撮像し, 膵肝腎などにROIを設定して各部でのtime activity curveを求めた. 膵における11C methionineの動態は膵のアミノ酸代謝をよく反映すると考えられるが, 75Se selenomethionineの場合と同じく膵炎, 膵癌はともに集積不良で鑑別できず, この場合には腫瘍親和性の18F deoxyglucoseが役立つとしている. 長らく目立った進歩のなかった膵のRI診断にも新しい装置, 薬剤の導入により多少変革が生じはじめたかにみえるが, 他臓器に比べ膵が著しく診断困難な臓器であることに変わりなく, 画期的な診断率の向上は今しばらく期待薄のような印象をうけた. |