Abstract | サイクロトロン核医学 (ポジトロンCT) の実施には, 病院内のサイクロトロンの設置, 自動合成装置の開発およびポジトロンCT装置の設置が必要であり, 本シンポジウムには, サイクロトロンをすでに設置された7施設から参加して頂いた. 群馬大学永井氏および九州大学一矢氏は昭和58年3月に完成されたサイクロトロン施設の概要および昭和58年度に導入予定のポジトロンCT装置の概要を紹介された. 秋田脳研上村先生は, ポジトロンCT装置として開発されたHeadtome IIIの性能を述べられ, さらに各種脳疾患者にC15O2, 15O2ガスの吸入による局所脳血流量, 酸素消費量の測定, 18F-fluorodeoxyglucose (18FDG) による脳の葡萄糖消費量の測定を行い, 定量的な測定が容易でないことを示された. 京都大学米倉先生は, 開発された全身用7層断層装置の性能を紹介し, ポジトロンCTの本質は正確な定量性にあることを強調し, またポジトロンCTのin vivoのRI検査における役割として, ポジトロンCTの成果のSPECTへの還元の重要性を述べられた. 東北大学伊藤先生は東北大学サイクロトロン核医学システムを紹介され, 18FDGおよび11C-methionineによる癌診断の有用性を示された. 国療中野病院井槌先生は450例に及ぶ脳血管障害者, 精神神経病者に11CO, 15O2の吸入および11C-glucose, 11C-fructoseの経口投与による血流分布, 糖代謝を検索して, その臨床上の有用性を示された. 放医研山崎先生は, 1974年に始まる放医研のサイクロトロン核医学の歴史を紹介され, 開発されたPOSITOLOGICA I, IIの性能, 11CO2, 15O2, 18FDG, 13NH3の自動合成装置の開発, 豊富な臨床利用の成績を示された. サイクロトロン核医学は安定した小型サイクロトロンは完成し, すぐれた性能のポジトロンCT装置も開発され, 今後は自動合成装置の開発がサイクロトロン核医学の今後の発展の鍵であることが痛感された. |