Abstract | 本セッションの座長を担当するに当たって, 次の諸点を念頭においてその計画を立てた. 1. 医療行為の結果作り出されるRI廃棄物は社会問題であるとともに国際問題である. 核医学の行為はその渦中にある. 核医学関係者はそのことを十分に認識する社会的責任がある. 2. この問題の背景として, 原子力・放射線安全に対する社会の厳しさが増したこと, 環境問題全般に対する社会的関心とその厳しさが増したこと, および, 医療を視る社会の眼が厳しさを増していること, の3点に注目する必要がある. 3. 問題の発生場所は, (1) 医療用RI廃棄物の発生原点, (2) その終末点, および, (3) それらの中間点, の3つである. 問題解決のためには, 広い視野に立った総合的判断が必要である. また, (1) の位置にある医療関係者が (2) と (3) の現状を知ることは, この問題の解決に不可欠な前提条件である. この問題に長い間かかわって居られる5人のシンポジストに, 以下のテーマで発言をお願いした. 1. 医療機関RI問題検討会の立場から (名古屋保健衛生大・古賀佑彦) 2. 医療用RI廃棄物集荷経験の視点から (日本アイソトープ協会・菊地昂) 3. 法令規制の視点から (厚生省医務局・矢野周作) 4. 廃棄物処理処分の一般論の視点から (国立公衆衛生院・田中勝) 5. 放射性廃棄物処理処分の経験の視点から (日本原子力研究所・伊藤尚徳) 当日は, 予想をはるかに超える参加者を得て, 盛会であった. 医療用RI廃棄物の発生当事者である核医学関係者が, この問題に深い関心を持ち, 問題の重要性を認識しつつあることを改めて知り, シンポジウムを計画した者のひとりとして喜ばしく思った. 総合討論では, ラジオメディカルセンター建設の成功を希望する意見が出された. 本件に関して, 将来, 本学会から何らかの態度表明が行われるものと期待している. |