Abstract | 「I. はじめに」活性型甲状腺ホルモンとしてtriiodothyronine (T3) , とthyroxine (T4) , の2種類が存在し, 血中濃度でみるとT3 : T4=1 : 50とT4が断然多い. 血中での甲状腺ホルモンは, そのほとんどが甲状腺ホルモン結合蛋白と結合して存在し, 実際にホルモン作用の主役は, 蛋白と結合していない遊離型の甲状腺ホルモンであると考えられている. したがって, 臨床的には遊離型の甲状腺ホルモン量を測定することは, きわめて意義のあることだといえる. 近年, radioimmunoassay (以下RIAと略) の発展普及に伴い, 甲状腺ホルモンに関しても, 血中total T4 (以下TT4と略) , 血中total T3 (以下TT3と略) および血中free T4 (以下FT4と略) の測定が容易となり, 広く臨床的に活用されている. ところが甲状腺ホルモンは, 甲状腺内および末梢において, T4からT3へ転換する事実が広く認識されるにつれ, 生理的にも, また病態生理的にも, TT3とりわけ生物活性の主役と考えられる血中free T3 (以下FT3と略) の動態に関心が向けられるようになった. |