Authors | 野上修二*, 鈴木謙三*, 中敷領勝士*, 石塚仁平*, 茅沼浩*, 小笠原幹*, 近藤隆*, 福士政広*, 内川澄* |
Abstract | 「I. はじめに」ラジオイムノアッセイ (RIA) による血中インスリン測定値が異常値を示し, インスリン抗体の存在が疑われる検体に遭遇することが少なくない. 検体中に抗体が存在する場合, 標識インスリンが試薬として添加したインスリン抗体のみならず検体中の抗体とも結合し, ポリエチレングリコール (PEG) 法では, 抗体とともに沈降して沈渣に集まるので, 測定値は0またはそれ以下の異常低値となる. 二抗体法では, 試薬由来の抗体は沈降するが, 検体由来のものは上清にとどまり, 沈渣の放射能が減少するので, 測定値は異常高値を示すことになる. インスリン抗体のほとんどの場合が, 過去あるいは現在のインスリン治療に由来するが, われわれは, PEG法で異常低値をとるにもかかわらず二抗体法では異常高値を示さず, インスリン治療歴も否定される症例を経験し, PEG法による測定値の異常が検体中のインスリン抗体によるものか, あるいは測定法上の問題によるものかについて検討し, インスリン抗体の存在によるものであることを確認したので, PEG法の有用性と併せて報告する. |