Abstract | 「I. 緒言」遊離サイロキシン (freeT4) 濃度は甲状腺の機能状態を最もよく反映する指標の一つと考えられている. その測定は通常平衡透析法, 限外濾過法ないしゲル濾過法などにより行なわれているが, これらでは多くの検体を同時に処理するためには手技が煩雑であり, ルーチンの検査法として広く行なわれるにはいたっていない. このたびわれわれは, 血清free T4濃度を簡便かつ短時間に測定するキット (Travenol社製, Gamma-Coat free T4 radioimmunoassay (RIA) kit) を試用する機会を得たので, 若干の基礎的検討を行なうとともに, 従来の平衡透析法と比較し, その臨床的有用性について検討した.「II. 測定原理および方法」free T4の測定原理は, 抗体でコートされた試験管内で行なわれるRIAで, T4結合蛋白と結合しているT4は抗体と結合しないので, これを吸引により除去し, 抗体に結合したfree T4を, その後に加えた125I-T4と競合させて, 標準曲線から血中の未知のfree T4濃度を測定するものである. 測定方法はキットに示された方法に従い, 以下のように行なった. |