Abstract | 「I. はじめに」腎機能検査用の放射性医薬品としては, 腎血漿流量物質である131I-hippuranと糸球体濾過量物質である99mTc-DTPA (diethylentriamine penta-acetic acid) が広く臨床的に応用されている. 今回我々は, 同一患者で同時に上記2核種の腎動態を観察することを目的として, 2核種用2チャンネル波高分析器 (PHA) を付属されたガンマカメラと, これにインターフェイスを介して接続したミニコンピュータを用い, 2核種同時注入・同時測定による経時的腎イメージよりカメラレノグラムを作成した. 本法により, 各種腎疾患について尿細管機能と糸球体機能を同一患者で同時に検査することの有用性について若干の検討を行ったので, その結果を報告する.「II. 検査方法」[1. 検査対象] 検査の対象は, 1978年の1年間に大阪医科大学附属病院放射線科へレノグラム検査を依頼された患者1,179名のうち30例 (男14例, 女16例) である. これらの年齢構成は31歳から78歳までで (平均年齢48.5歳) , 5例の健常例を含み, 臨床診断は本態性高血圧症6例, 糸球体腎炎5例, 糖尿病性腎症4例, 尿路結石症4例, SLE3例, ネフローゼ症候群3例であった. |