Abstract | 「1. はじめに」骨シンチグラフィの長足の進歩にともなって, 骨が, 悪性腫瘍の転移臓器として診断上非常に重要視されるようになってきた. いうまでもなく, 骨シンチグラフィは骨転移を早期に診断できる唯一の手段であり, 悪性腫瘍患者の治療方針を決定する際には不可欠である. 1971年Subramanianが骨シンチゲラフィ用99mTc標識放射性試薬としては初めての99mTc-tripolyphosphateを報告して以来, 99mTc-polyphosphate, 99mTc-pyrophosphate, 99mTc-EHDPなどの99mTc燐酸化合物が開発キット化され臨床に広く用いられてきている. 99mTC燐酸化合物は99mTCの持つ有利な物理的性質のゆえに, 骨シンチグラフィには理想的な試薬である. しかしながら, 今まで用いられてきた99mTc燐酸化合物はいずれも静注後3ないし4時間以上経過しないと, 臨床診断に十分な骨シンチグラフィが得られず生物学的性質のうえでは理想的とは言えなかった. 最近, 新しい骨シンチグラフィ試薬としてSubramanianらによって提唱された99mTc標識Methylene diphosphonate (MDP) が第一ラジオアイソトープ研究所によってキット化されたが, 今回これを試用する機会を得て他の99mTc燐酸化合物と比較し基礎的, 臨床的検討をおこなったところ, 従来の99mTc燐酸化合物より優れた結果が得られたので報告する. |