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学会案内

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理事長のご挨拶

                      一般社団法人 日本核医学会
                          理事長 絹谷 清剛
 令和元年度より、本学会理事長を務めさせていただくこととなりました。現在、学会活動において私の世代を指導してくださった諸先輩の多くが退官され、あるいは退官されていかれるタイミングにあたり、いわば世代交代の時期にきているかと感じます。このような節目に理事長の任をいただくことに、身が引き締まる思いです。
 私が核医学診療の世界に入った1980年代は、種々の新規診断薬が承認を受けるとともに、SPECTが普及し始めた時代で、核医学の大きな発展期にあったかと思います。平成15年に特定機能病院で現行の包括医療費支払い制度(DPC)が開始され、核医学検査数が減少に転じましたが、PETの保険診療が開始されて以降、シングルホトン検査とPET検査を合わせた総数はほぼ維持されています。今後PET診療がさらに広がりを見せるであろうことを勘案すると、診療における核医学検査の重要性は色あせることなく、さらに重要性を増すであろうと思います。また、核医学治療実施数は増加の一途を示しており、現在複数の臨床治験が進行していることや、新規治療の国内導入が核医学の世界だけでなく、各診療科の世界でも活発に議論されている現状を見ると、核医学診療の意義は益々大きくなるであろうことに疑いの余地はありません。さらには、第3期がん対策推進基本計画において核医学治療推進がうたわれ、がん診療連携拠点病院の指定要件に核医学治療が組み込まれたことは、国が施策として核医学治療の国内展開を後押しすることを意味しています。
 核医学診療は関連の諸々の領域の方々との連携なしには進まないということは、改めて申し上げる必要もないかと思います。畑澤 順前理事長のリーダーシップの基に、核医学理工分科会、放射性医薬品関連分科会、核医学看護分科会が新たに設置され、関連領域と協調した活動が活性化されました。また、井上登美夫理事長の時代から活発化され、畑澤理事長がさらに大きく展開されたSNMMI、EANM、AOFNMB、WFNMB、各国学会等々の海外学会との連携活動により、日本核医学会の世界におけるプレゼンスは日々高まっています。また、昨年提携されたIAEAと国内大学・医療機関とのコンソーシアムでは、発展途上国の人材育成に大きな役割を担うに至っています(https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/iaea-signs-agreement-with-consortium-of-11-japanese-institutions-to-support-training-in-nuclear-medicine)。さらには、学会・患者の方々・企業が参集して核医学を一般の方々に知っていただくとともに、行政へのロビー活動を行うプラットフォームとして核医学診療推進国民会議(https://www.ncnmt.jp/)が設立され、また、医療用放射性核種の国内生産を企図して一般社団法人 日本医用アイソトープ開発準備機構(JAFMID、https://www.jafmid.or.jp/)が立ち上がっています。
 これらの種々の事柄は、核医学診療が新たな発展期に入りつつあることを示していると思います。この発展を実現できるか否かは、ひとえに今後の数年間の活動にかかっています。本会会員の皆さん、関連諸企業・学協会の皆さん、核医学治療を求めておられる患者の皆さんとともに、実を結ぶことができるよう奮励努力し、そして、2022年9月に開催される世界核医学会では、胸を張って世界の方々をお迎えできる環境を整えたいと思います。
皆さん、がんばりましょう!