福島原子力発電所事故に関する過去の掲載情報

 福島原子力発電所の事故から3ヶ月経過し、原子力発電所からの
放射能の放出ならびに放射線量の測定値などが変化し、
ホームページでの掲載文書の内容にそぐわくなりました。
 これらの文書が一般市民の方に誤解を与えることを
避けるために、過去に掲載しました情報をホームページの
アーカイブに移動させていただきました。
 過去の情報をご覧になりたい方は、以下のページをクリックし
ご覧ください。なお、これらの文書における原発に付随する
放射線や放射能の数値は、現在では大きく低下していますので
くれぐれも誤解の無いようにしてください。

福島原子力発電所事故に関する過去の掲載情報

福島原子力発電所の事故から3ヶ月経過し、原子力発電所からの放射能の放出ならびに放射線量の測定値などが変化し、ホームページでの掲載文書の内容にそぐわくなりました。これらの文書が一般市民の方に誤解を与えることを避けるために、過去に掲載しました情報をホームページのアーカイブに移動させていただきました。
  過去の情報をご覧になりたい方は、以下のページをクリックしご覧ください。なお、これらの文書における原発に付随する放射線や放射能の数値は、現在では大きく低下していますのでくれぐれも誤解の無いようにしてください。

原発事故に関する過去ログ

 本文書は汚染、被ばく等の状況が変化したため 2011/6/1にホームページのアーカイブに移動しました。文書内では事故当時の数値が用いられていますが、現状では大きく変化しており2011/6/1現在の状況とは大幅に異なっていますので取り扱いには十分ご注意ください。
 
改訂第3稿:2011年3月30日
改訂:2011年4月7日
掲載日:2011年3月26日
改訂第2稿:2011年3月25日
掲載日:2011年3月23日
改訂第2稿:2011年3月28日

妊娠中のお母さん、授乳中のお母さん、将来のお母さんへ

 本文書は汚染、被ばく等の状況が変化したため 2011/6/1にホーム ページのアーカイブに移動しました。文書内では事故当時の数値が用いられていますが、現状では大きく変化しており2011/6/1現在の状況とは大幅に異 なっていますので取り扱いには十分ご注意ください。

 

 本学会は平成23年3月25日のアナウンスで、微量の放射性物質が付着・混入した飲食物摂取に危険がないことをお伝えいたしました。今回は、現状の放射性物質の量では、妊娠中のお母さんのおなかの中の赤ちゃん、授乳中のお子さん、将来のお母さんにも心配のないことをお伝えいたします。私たち核医学を専門とする医師は、今回の原子力発電所から漏れ出た放射性物質の一つである放射性ヨウ素と全く同じものをお薬として日常的に使用しており、その取扱いに精通しています。ご安心のうえ以下の話をお読みください。

Q1.妊娠中です。おなかの中の赤ちゃんの影響が心配です。
A1.ご心配の必要はありません。

おなかの赤ちゃんに影響がでる放射線量は、国際放射線防護委員会ICRP報告(Pub 84)では 100 mSv(ミリシーベルト)とされています。また、米国産婦人科学会や我が国の産婦人科学会はより安全な50 mSvと規定しています。
お母さんの体に当たった放射線がおなかの中の赤ちゃんにまで到達する放射線と、お母さんの胎盤を通って赤ちゃんの体の中に入った放射性物質の影響の二つを考える必要があります。
まず、避難勧告の出ている30km地域の外に居住されている皆さんが受けている被ばくは、これまで新聞報道などで報告されているように、現在のところ一般の皆さんの年間の上限値とされている1 mSvを遥かに下回る程度ですので、お母さんの体を通り越した放射線でおなかの赤ちゃんに影響が出ることはあり得ません。
次に、お母さんの体内に入った放射性ヨウ素による赤ちゃんの被ばくは、1 Bq(ベクレル)当たり6.8 x 10-8~2.7 x 10-7 mSvです。仮に暫定規制値の300 Bq/kgの放射性ヨウ素が混入した飲料水1リットル を受胎から出産までの280日間毎日飲んだとしても、おなかの赤ちゃんに5.7 x 10-3~23 x 10-3 mSv、つまり最大でも0.02 mSvほどの放射線があたるだけということになります。これは50 mSvと比べ著しく少ない量です。
このように、赤ちゃんに当たるすべての放射線量を足し合わせても、影響がでる値にはなりません。

Q2.母乳を与えています。子供に影響はありませんか?
A2.ご心配の必要はありません。

お子さんで最も問題となる甲状腺の放射線量を計算してみます。仮にお母さんが暫定規制値300 Bq/kgの放射性ヨウ素が混入した飲料水を毎日1リットル飲んで、母乳をお子さんが1年間飲んだとします。多く見積もってお母さんの体に入った放射性ヨウ素のうち25%ほどが母乳中に入ります。お子さんの体に入った放射性ヨウ素は1 Bq当たりお子さんの甲状腺に約4.3 x 10-4 mSvの放射線を当てるとされています。したがって、母乳をすべてお子さんが飲んだとすると、300 x 365 x 0.25 x 4.3 x 10-4 mSv=約12 mSvの放射線が甲状腺にあたることになります。平成23年3月18日のアナウンスでお知らせしたように20 mSv以下では小児に甲状腺癌が増加することはありませんので、現在報告されている放射能の数値は心配するほどではないことがわかります。

Q3.粉ミルクを水道水で調整して飲ませても大丈夫でしょうか。
A3.ご心配の必要はありません。

 詳細は平成23年3月25日の本学会アナウンスをご覧ください。

Q4.将来生まれてくる子供に影響が出るのではないかと心配です。
A4.ご心配の必要はありません。

 私たちが行っている診療では、甲状腺癌やバセドウ病の患者さんに、放射性ヨウ素をお薬として飲んでいただく放射性ヨウ素内用療法(アイソトープ治療)を受けていただくことがあります。患者さんには、若い方も多く含まれます。どちらの治療も今回の原子力発電所事故で皆さんの体内に入る可能性がある放射性ヨウ素量とは比べものにならないほど大量の放射性ヨウ素を治療に用います。私たちは、自分たちが担当した多くの患者さん達が、元気なお子さんを出産されているのを日々の診療の中で経験しています。

 以上のように、現在のところ妊娠中のお母さん、授乳中のお母さん、将来のお母さんを含め、すべての方に影響が生じる事態にはなっておりません。むしろ不安に感じるストレスの方が、おなかの中の赤ちゃん、育児などに影響を与えかねません。心安らかに、過ごされますことを祈念いたします。

平成23年3月28日
改訂:平成23年4月07日
日本核医学会
 

甲状腺疾患をお持ちの患者さんへ

本文書は汚染、被ばく等の状況が変化したため 2011/6/1にホーム ページのアーカイブに移動しました。文書内では事故当時の数値が用いられていますが、現状では大きく変化しており2011/6/1現在の状況とは大幅に異 なっていますので取り扱いには十分ご注意ください。
 
甲状腺はヨウ素と密接な関係にある臓器ですので、福島第一原発事故による放射性ヨウ素汚染とご自分の病気との関連についてご心配されておられることと思います。病気別にまとめてみました。現在報道されている飲料水などの環境中の放射性物質量では、いずれの甲状腺疾患でも病状には影響ありません。
 
Q1.バセドウ病です。健康な人に比べ悪影響が出やすいことはないでしょうか?
A1.ご心配の必要はありません。
バセドウ病をお持ちであっても、同じと考えていただいて大丈夫です。確かに、バセドウ病で、ホルモン値がうまくコントロールできていないような時期には、摂取率(ヨウ素の取り込み率)が病気のない方に比べ高くなります。正常は10-40%、バセドウ病でうまくコントロールできていない場合には平均的には60-70%ほどです。逆に抗甲状腺剤を内服しておられる方では、甲状腺へのヨウ素の取り込みが低下していることもあります。この値は、ヨウ素制限をして検査をした時のものです。したがって、普通の食事(海草類や昆布だしなどをふくむもの)を摂っている場合には、これよりもずっと低い値になります。
私たちは、環境中に出た放射性物質の住民の皆さんへの影響を試算しましたが、現状で原発から離れたところ(政府の発表している30km圏外)にお住まいの方々では、仮にバセドウ病で摂取率が高い状態でも、影響が出るような値にはなりません。
 
Q2.バセドウ病でアイソトープ治療を受け、現在ホルモン補充を受けています。注意すべき事はあるでしょうか?
A2.ご心配の必要はありません。
アイソトープ治療後にホルモン補充を受けておられる方は、甲状腺へのヨウ素の取り込みはほとんどなくなっています。したがって、体に放射性ヨウ素が入ったとしても、正常な人たちよりも、むしろ早く尿中に排泄されます。
 
Q3.慢性甲状腺炎です。特に薬などは内服していませんが、放射性ヨウ素が体に入ると症状に繋がらないかと心配です。
A3.ご心配の必要はありません。
 慢性甲状腺炎で、内服の必要がない方の放射性ヨウ素の取り込みは、正常の人たちと全く同じと考えても差し支えありません。ですから、放射性ヨウ素がわずかに体内に入ったとしても、A1の答えと同じです。
 
Q4.慢性甲状腺炎が原因で甲状腺機能低下症になっており、甲状腺ホルモン補充を受けています。現在の状態は、ホルモンの量などに影響が出るのではないかと心配です。
A4.ご心配の必要はありません。
 ホルモンを内服している方では、甲状腺へのヨウ素摂取率は多くの場合低下していると考えられます。したがって、甲状腺の放射線量はより少なくなるはずです。影響はありません。
 
Q5.甲状腺機能低下症ですが、治療薬チラーヂンが震災のために手に入りません。健康な人に比べ悪影響はでないでしょうか?
A5.ご心配の必要はありません。もう少しお待ちください。
 あすか製薬は甲状腺機能低下症治療薬チラーヂン(一般名レボチロキシン)で98%のシェアを持っていますが、今回の震災でいわき工場(福島県)が被災し操業停止になりました。手に入りにくい場合、甲状腺機能低下症の症状が起こります。主治医や身近な医療関係者に相談してください。
 甲状腺機能低下症ではチラーヂンを服用できないと甲状腺刺激ホルモンが増加し、甲状腺へのヨウ素摂取を亢進させる可能性があります。しかし、一般に無治療の甲状腺機能低下症でも、A1に示したような活動性バセドウ病を超えるほどの強い集積亢進を示すことはありません。健康な人に比べ、環境中の放射線から悪影響が出やすいということはありません。
 また、平成23年3月25日付けのあすか製薬の発表では生産を再開したとの報道がありました。もう少しお待ちください。
 
Q6.甲状腺に腫瘍があるといわれています。悪影響はでないでしょうか?
A6.ご心配の必要はありません。
腫瘍があるからといって、放射線量が多くなることはありません。また、わずかな放射線があたったからといって腫瘍が大きくなることはありません。
 
参考)プランマー病という頻度の少ない病気(バセドウ病のように甲状腺機能亢進症を起こします)では、腺腫という良性の腫瘍が甲状腺ホルモンを作ります。この場合は、この腺腫に少し多めに放射性ヨウ素が取り込まれますが、それが原因でがんに変わることはあり得ません。
 
このように、いずれの甲状腺疾患でもとくに大きな問題にはなりません。ご安心なさって、治療を続けてください。

 

 
平成23年3月30日

改訂第2稿:平成23年3月30日

改訂第3稿:平成23年3月30日

日本核医学会

被災者の皆様、とくにお子さんをお持ちの被災者の皆様へ

 本文書は汚染、被ばく等の状況が変化したため 2011/6/1にホーム ページのアーカイブに移動しました。文書内では事故当時の数値が用いられていますが、現状では大きく変化しており2011/6/1現在の状況とは大幅に異 なっていますので取り扱いには十分ご注意ください。

 

 現状(2011/3/17現在)では3/16以前に避難区域(原発半径20km)以遠に避難をされておられる方々やそれ以遠に在住されておられる方々の安定ヨウ素剤による甲状腺の保護処置は不要です。

 東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方々に心からお悔やみ申し上げます。また、被災地域の一日も早い復興をお祈りいたします。

 被ばくが懸念される地域にお住まいの皆様には、東北地方太平洋沖地震に伴う福島原子力発電所事故による放射性物質に由来する健康への影響をご心配のことと存じます。特にお子様をお持ちの親御さんは、子供達の被ばくを心配され、安定ヨウ素剤による甲状腺の保護処置が必要ではなかろうかとご不安に駆られることと思います。

 経済産業省のプレスリリースには、16日、原子力災害対策現地本部から、「避難区域(半径20km)からの避難時における安定ヨウ素剤投与の指示」を県知事及び市町村(富岡町、双葉町、大熊町、浪江町、川内村、楢葉町、南相馬市、田村市、葛尾村、広野町、いわき市、飯館村)宛に発出したとあります。

 しかし、これは、16日以前にすでに当該地域から避難されておられる方々や、当該地域圏外に在住されておられた方々を対象としているものではありません。これらの方々におかれましては、今の段階では安定ヨウ素剤による甲状腺保護処置は不要です。むしろ危険なことがありますので、避けてください。

 ただし、今後の状況変化によってはこれらの方々にも必要となることもありますので、政府発表・関連自治体発表・東京電力発表・報道情報などを十分に注視され、政府や自治体の指示にしたがっていただけますようお願い申し上げます。

  1. 甲状腺はヨウ素を取り込んで甲状腺ホルモンを作る組織で、人間は食物からヨウ素を消化、吸収し、甲状腺はこれを取り込んで働いています。食物中に十分なヨウ素があれば、甲状腺はある程度ヨウ素で満たされた状態にあります。逆に食事中にあまりヨウ素がない生活をしていると、甲状腺はヨウ素欠乏状態になり、ヨウ素の吸収が上がります。通常のヨウ素は放射能を持っていませんが、なかには放射能を含むもの(放射性ヨウ素I-131)があり、これが食物を通じて大量に取り込まれると甲状腺に悪影響を与えることがあります。このため、多くの皆さんはご心配になっておられることと思います。
  2. チェルノブイリでの事故後に東欧諸国で小児を中心とした甲状腺癌の増加が見られましたが、その主な原因はミルク等に含まれていた放射性ヨウ素による体内からの被ばく(内部被ばく)であったことが分かっています。たしかにチェルノブイリ事故では、大規模な被ばく発生後4日目に、ポーランドが国を挙げて安定ヨウ素剤を全ポーランドの小児の90%に一回だけ配布いたしました。そうしなかった隣国のウクライナやベラルーシでは小児の甲状腺癌が増加したのに対して、結果的にポーランドでは甲状腺癌増加は認められませんでした。しかし、1)内陸国のウクライナやベラルーシは食物や土壌中のヨードが少なく、もともと国民的にヨード欠乏状態であったのに対し、ポーランドは海沿いの国でさほどヨード欠乏状態ではなく、2)ポーランドは国内での牛乳を禁止して、すべて輸入粉ミルクに変えたという処置も行っています。これらの多くの処置がかみ合い、結果としてポーランドでは甲状腺癌の増加がなかったのです。
  3. 食物中、土壌中のヨウ素量の多い日本では、通常の食生活を行うことで十分にヨウ素を摂取できており、自然と甲状腺は安定ヨウ素で満たされています。ごく少量の放射性ヨウ素が簡単に健康に影響するほど吸収されることはありません。むやみに安定ヨウ素剤を服用する必要はありません。また、ヨウ素の入ったうがい剤や消毒剤を飲むことは危険です。乳児の場合には成長障害を引き起こす危険もあります。
  4. 牛乳やその他の食物に含まれる放射性ヨウ素の濃度が上がるには、多量の放射性ヨウ素が土壌に広まり、これを吸収した植物やそれを食べた牛などが身体の中で濃縮していき、これを人間が食べることで甲状腺への被ばくが起こりますので、現在の状況ではすぐに危険性があるものではありません。
  5. 安定ヨウ素剤の投与は、一度に多量の放射性ヨウ素の被ばくを受けた40才未満の方に対して、一度だけ安定ヨウ素剤を飲んで貰って、その後被ばく地から待避していただくことが前提です。現状で一度だけ安定ヨウ素剤を飲んでいただいても、むしろ甲状腺機能が不安定になり、リバウンドで一定期間後に放射性ヨウ素の吸収を高めてしまうことさえ起こりかねません。
  6. 国際放射線防護委員会ICRPから勧告されている安全な甲状腺への放射能の基準は甲状腺線量0.020Gy以下とされており、この線量以下では小児に甲状腺癌が増加することはないとされています(ICRP Pub94)(なお、チェルノブイリ事故後に測定されたウクライナ、ベラルーシでの甲状腺線量は桁違いに高く、平均0.15-3.10Gy程度と報告されています)。この安全な線量0.020Gyは、計算すると、体内に約3 μCi程度の放射性ヨウ素が入ることに相当します。これは通常使われる放射能を検出するサーベイメーターで甲状腺に数百万cpm(一分間に数百万のカウントを計測)となり、非常に高い数字です。
  7. スクリーニング検査を受けられた方でいくらかの放射能汚染が生じていることが政府発表で報告されていますが、そのような方々にはその際に除染の上、適切な指示が与えられています。また、上記圏外に出ておられる地域住民の方々の放射能汚染のスクリーニングの結果は、多くの方が汚染なしの結果と報道されていますので、圏外の方々では甲状腺に悪影響を与えるほどの体内汚染が起こっているとは考えられません。万一スクリーニングに際し汚染が生じていることが判明すれば、適切な対応が取られています。
  8. 3/17日に福島市内の上水道中の放射性ヨウ素などの濃度が若干増加したと報道されていましたが、その後は通常の飲用に問題がないとされる規制よりも下の値です。
  9. なお、放射性ヨウ素による甲状腺癌発がんの危険性は40才未満、とくに放射線に敏感な小児に高く、それ以上の方では危険性はほとんどありません。

大変な状況が続きますが、ともかく落ち着いて、政府発表・関連自治体発表などに従ってください。よろしくお願いします。

日本核医学会
放射線医学総合研究所
(2011/3/17)
(2011/3/18 改訂)
(2011/3/18 改訂:第2稿
(2011/3/28 改訂)
(2011/3/28 改訂:第2稿)

福島原発災害チャリティー講演会

 本文書は汚染、被ばく等の状況が変化したため 2011/6/1にホーム ページのアーカイブに移動しました。文書内では事故当時の数値が用いられていますが、現状では大きく変化しており2011/6/1現在の状況とは大幅に異 なっていますので取り扱いには十分ご注意ください。

 

主催:医療放射線防護連絡協議会
共催:日本医学放射線学会
後援:日本医学会
日本放射線技術学会

 

 東日本巨大震災に伴う福島原発災害により、多くの市民が、放射線・放射能への極度の不安と混乱に陥りました。今後の健康影響への深刻な事態も予測されています。 また、福島原発災害からの放射能による、食品・飲料水への汚染は、大きな社会問題です。乳児やお腹の赤ちゃんへの健康影響を心配した、母親など家族の、極度の不安やストレスも懸念されています。 

 私たちは、日頃、医療の放射線利用と医療安全・放射線安全に係っています。今後も放射線・放射能を安全に利用し、その恩恵を市民と共有し続けるためには、この大惨事を皆様と一緒に克服しなければなりません。

 放射線影響、食品衛生の基本をもう一度学びましょう。その後、会場の皆様と知恵を絞り、現状を受け入れて、再び前に進む方策を提言します。

(本講演会は参加費を無料とし、お志を東日本巨大地震災害義援金として受付けます。)

 

日 時:平成23年3月27日(日)13時~16時 
  (12時開場:10時30分整理券配布開始)
  事前申し込み不要

◆ 場 所:メルパルクホール  東京都港区芝公園2-5-20 電話03-3459-5501
  JR山手線・京浜東北線 浜松町駅北口または南口から徒歩約8分
  都営地下鉄三田線(東急目黒線乗入) 芝公園駅A3出口から徒歩約2分

◆ テーマ:福島原発災害にともなう放射線影響とは
  ――放射線・放射能から大切な命を守ろう!――

◆参加費:無料(災害義援寄付を受け付けます)

◆ 内 容
 開催挨拶13:00-13:15
  日本医学会会長          高久 史麿 
  日本医学放射線学会理事長   杉村 和郎
 教育講演 13:15-13:55 司会:中村 信仁(日本医学放射線学会 防護委員長)
  放射線の健康影響   丹羽 太貫(京都大学名誉教授)
 パネル討論会 14:10-15:55 司会:大野 和子(京都医療科学大学)
 1.対応を影響量から考える   菊地 透(医療放射線防護連絡協議会総務理事)
 2.食品衛生の基準値   香山 不二雄(自治医科大学)
 3.正確な情報収集   清 哲朗(元厚生労働省医療放射線管理専門官)
 4.医療関係者に必要な基礎知識   大野 和子(京都医療科学大学)
  パネリスト講演に引き続き、参加者を交えた討論により今後の対応策を考えます。
  指定発言 川野 龍太郎 他数名
  閉会挨拶:佐々木 康人(医療放射線防護連絡協議会会長)(5分)

  問い合わせ先:医療放射線防護連絡協議会
  事務局 Email:jarpm@chive.ocn.ne.jp
  東京都文京区本駒込2-28-45 日本アイソトープ協会内

微量に放射能汚染された飲食物の長期摂取に関して

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 国民の皆様におかれましては、東北地方太平洋沖地震に伴う福島原子力発電所事故による放射性物質に由来する健康への影響をご心配のことと思います。特に、放射性物質に汚染された飲食物摂取による身体への影響に関して、ご懸念のことと存じます。

 先日来、国の関連機関から、原乳、野菜、上水道などへの放射性物質の混入が報告されています。これに伴い、国により、飲食物に含まれる放射性物質に関する暫定規制値が設定され、これを上回る飲食物の摂取制限がなされております。暫定基準を下回る飲食物については安全性が強調されておりますが、これらの飲食物の摂取に不安を感じておられる方も多いと思います。そのような方々への情報として、このアナウンスをお出しする次第です。

 まず、このような原子力発電所事故がなくても、我々が普段口にしているすべての飲食物には放射性物質が含まれていることを理解する必要があります(日本アイソトープ協会HPより:出典:文部科学省パンフレット)。たとえば、牛乳やほうれん草には、元々50 Bq/kg、200 Bq(ベクレル)/kgの放射能が含まれています。もともと私たちは微量の放射能に囲まれて生活しているのです。さらに、私たちの身体には必須元素として体重1 kg当たり2 gのカリウムが存在しますが、その0.01%はβ線を出すカリウム-40です。ですから、体重60 kgの人では1秒間に3,600 Bqに相当する放射線を出しています。このように、私たちは、生まれてから生涯、放射線を出す様々な環境の下で生活していることをご理解下さい。

 さて、都内では平成23年3月23日に水道水に放射性ヨウ素210 Bq/kgの混入が認められたため、乳児が水道水を飲むのを控えるよう通達がなされました。平成23年3月17日の政府通知では、成人・小児の放射性ヨウ素に関する暫定規制値を、飲料水300 Bq/kg、牛乳・乳製品300 Bq/kg、野菜類(根菜類は除く)2,000 Bq/kgとしています。また、同通知では、特に乳児については飲料水の暫定規制値を100 Bq/kgとしています。これは乳児への影響は大人より3倍程度高いことが知られているためです。なお一部の報道に、「乳児の甲状腺が発達途上でヨウ素が取り込まれやすい」という説明がされていますが、取り込みの力に年齢差はありません。

 皆様方の健康への影響を、もっとも影響を受けやすいと考えられる乳児を例に考えてみます。乳児については、飲料水に含まれる放射性ヨウ素に関する暫定規制値の上限は100 Bq/kgとなっています(上述のようにこれが最も厳しい上限設定です)。この飲料水で調整したミルクを1回200 ml、1日5回飲んだとします。1日1,000 mlですから体内に約100 Bqの放射性ヨウ素が乳児体内に入ることになります。仮に1 年間飲んだとして、100x365 Bqつまり36,500 Bqです。国際放射線防護委員会ICRP報告にあるとおり、約120,000 Bqの放射性ヨードが体内に入った状態(甲状腺線量0.020Gy程度)でも子供達の甲状腺癌発生が増加する危険はありませんので(平成23年3月18日の本学会アナウンスをご覧ください)、このような条件であっても、子供達には影響はでないことがおわかりいただけると思います。

 また、年長児が、暫定規制値の上限に該当する牛乳(300Bq/kg)を毎日コップ1杯(約200 ml)1年間飲んだと仮定しても、300x0.2x365 Bq、21,900 Bqの量に相当します。これも発癌の危険が発生する量にはなりません。

 野菜などの放射能汚染の大部分は表面に付着したものですから、日常の調理と同様にきちんと洗って用いれば、ほとんど洗い流され、体内には入りません。放射性セシウムも検出されていますが、報告されている量は総じて放射性ヨウ素よりも少ない量であり、同様の対応をとっていただければよろしいと思います。

 実際には、長期にわたるこのような微量の放射線被ばくにおいては、影響を受けた細胞には修復の働きがあるため、発癌の危険はこの試算よりもずっと低くなります。また、上記試算は、年間を通して一定量の放射性物質の混入が同じ量持続すると仮定して計算していますが、今後原子力発電所の状況が改善していくならば、環境中に放出される放射性物質の量が減ることに加えて、一旦環境中に出た放射性物質も徐々に減少していきますので、放射線被ばくは試算よりもさらに大幅に少なくなります。事実、平成23年3月24日午前6時の測定で水道水中の放射性ヨウ素が100 Bq/kgを下回ったため、東京都は摂取自粛要請を取りやめました。

 以上のことから、発出されている政府の指示を守れば、最も放射線に対する影響を考慮しなければならない子供達でも問題とならないことがおわかりいただけますでしょうか。放射線の影響がずっと低い大人では、さらに影響を及ぼすことはないと考えて差し支えありません。

 現在種々の風評が流れていますが、国民の皆様におかれましては、流言に惑わされることなく、政府や関連機関の指示にしたがって行動してくださいますよう、お願い申し上げます。

平成23年3月25日
改訂第2稿:平成23年3月25日

 

 

被災地から十分離れた地域に居住されている方の被ばく、汚染および被災地か ら避難された方の汚染について

 本文書は汚染、被ばく等の状況が変化したため 2011/6/1にホーム ページのアーカイブに移動しました。文書内では事故当時の数値が用いられていますが、現状では大きく変化しており2011/6/1現在の状況とは大幅に異 なっていますので取り扱いには十分ご注意ください。

 

 福島の原子力発電所における事故に伴い、空気中あるいは降下微粒子による放射能の付着や放射線被ばくを心配されている方が多数いらっしゃると思われますが、その量は大変微量であり、政府からの発表のように原子力発電所から十分離れた地域では人体に影響を与える量ではありません。3月20日のNHK報道によりますと、「福島県内で放射能汚染や被ばくの測定を行った57000人中、全身の除染が必要となった方はゼロであった」としています。また、現地で緊急の作業を行った方であっても、靴底や車のタイヤにわずかの放射能を検出したのみです。また、2日間の福島県内での活動(移動を含めのべ4日間)による外部被ばく線量は20μSv(0.02 mSv)前後と、健康に害がでるおそれがあるとされる100 mSvと比較すると遙かに少ない量でした(学会会員施設から現地に派遣された会員からの情報)。

 現在、風評による無用な心配から被ばく測定を保健所や病院に依頼する方が増えていますが、これによって電話がつながりにくくなったり、保健所や病院の正常な日常業務を損なう状態になっています。また、被災地におかれましても、被災地および被災地に出入りする人に対する線量測定は、被災者の救済、支援、復興作業を著しく損なうものとなりますので、無用な心配による線量測定の依頼は極力差し控えていただきたいと考えております。この点についてはマスコミに対しても、無用な不安をあおらない事を強く希望します。また、被ばくに関しては政府が公表する正確な情報を信頼し、くれぐれも根拠のない風評等に振り回される事がないようにお願いいたします。なお、各地域の保健所等で被ばくに関する検査や健康相談等の体制が整いつつありますが、「避難・屋内待避勧告地域内に1日以上滞在した方で希望者のみ被ばく検査を実施する」などと、限定されていることを附記します。

 また、福島県から移動されてきた方々の宿泊を拒否するようなことが起こっていると報道されています。厚生労働省はこれに対して「原発のすぐそば以外は放射線量が低く、過剰反応すべきでない」とコメントを出しています。上記のごとく、福島から避難されてこられた方々の放射能汚染量から判断して、その方々が避難先でその地の方々に影響を与えることはあり得ません。国内全地域の方々の冷静な対応を切にお願いする次第です。

2011年3月20日 日本核医学会

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